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オルタナティブデータ

オルタナティブデータとは

銀行、金融サービス、保険(BFSI)業界や投資家に資産運用のために利用される経済統計や財務情報などの伝統的データ以外の情報源から生成されるデータの総称を言います。

また、代替データや非伝統的データ、高頻度データとも呼ばれており、近年のテクノロジーの発展により、デジタルで収集して分析されることで入手できるようになった新たなデータも含みます。

例えば、スマートフォンの位置情報やクレジットカードの決済情報、POSデータ、SNS、気象情報、衛星画像、あるいは求人情報などがビッグデータ解析され、人々の行動や企業の業績を予測するのに活用されています。

オルタナティブデータとトラディショナルデータの違い

オルタナティブデータの特徴は、トラディショナルデータ(伝統的データ)と対比するとわかりやすくなります。

トラディショナルデータとしては、企業が発表する決算情報や公的機関が出す国勢調査、商業動態統計などの経済指標がありますが、これらは調査あるいは集計されてから発表されるのに数ヶ月はかかる傾向があります。また時間がかかるということは、頻度も数ヶ月から数年に1度に公表されるペースです

一方のオルタナティブデータは即時性が高く、高頻度であるという特徴があります。例えばクロスロケーションズの位置情報ビッグデータ解析による人流データの場合、特定地点の推計訪問者数が翌日の昼頃にはダッシュボード上に表示される仕組みとなっています。毎日更新されており、日々の変化を見ることが可能です。

もうひとつの特徴としては、個別性・詳細性が挙げられます。つまり粒度の細かいデータを入手することができるということです。トラディショナルデータでは、データの分類が時間軸であれば月別、エリア軸であれば都道府県別、調査対象であれば企業別などとなりますが、オルタナティブデータでは、指定の時間、場所、店舗という細かさでデータを入手することも可能です。

オルタナティブデータのメリット

オルタナティブデータはトラディショナルデータに比べてどのような優位な点があるのでしょうか。
まずひとつ目は、デジタル化されているという点です。オルタナティブデータはひとつの現象についての結果(ただの1と0)ではなく、個々の記録が集まったビッグデータとして処理されています。また、それぞれのデータに複数の項目(ディメンション)が付与されていることも多く、解析の切り口も無数にあります。

データがデジタル化され大量に扱うことができると、AIでの分析も可能になります。AIは過去の傾向から将来を予測したり、関連性を見つけたりすることが得意なため、ビッグデータから示唆に富むインサイトを提示してくれます。

また、オルタナティブデータは他のデータと掛け合わせることによって、より有効なデータになり得ます。クロスロケーションズでは、人流の予測モデルを開発していますが、日にちや曜日別に特定の場所・周辺の来訪数や気象情報(天気、最高気温、体感温度)、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染状況などさまざまな要因(説明変数)のデータがが多数入っています。他のデータと掛け合わせることで、予測の精度を上げることができるのです。

オルタナティブデータの活用

オルタナティブデータはここ数年は日本に先駆け欧米のヘッジファンドやFintech業界で注目されてきました。特に2018年11月のウォール・ストリート・ジャーナル紙で掲載された、”テスラ社の工場の人流をスマートフォンの位置情報から解析して増産を予測し、その情報をヘッジファンドが数億円で購入した” という記事(参考1)が、世界中の投資家たちを驚かせました。

また、同じ頃から位置情報オルタナティブデータは不動産投資やREITにも活かせるということで、数々の分析や指標が公表されてきました。(参考2)
日本では2020年に流行した新型コロナウイルスの影響で、人々の生活様式がそれまでのものから急激に変化し、経済・社会情勢の先行きが不透明になる中、従来の統計調査ではないデータを見る動きが活発化してきました。日本銀行は2020年7月の展望レポートの中で”Google COVID-19 Community Mobility Reports"を引用し、家計調査との相関を示唆しています。(参考3)

また、クロスロケーションズでは、人流オルタナティブデータの特性を活かし、ホームセンターへの来訪数と商品販売額(経済産業省商業動態統計)と掛け合わせて見ることで、双方の相関が高いことを発見しました(相関係数は0.87)。特に来訪数の値は準リアルタイムで入手できるため、商品販売額の統計が出る前の業績予測の先行指標として利用できる可能性を示唆しています。

このように、日本でも徐々にオルタナティブデータの活用方法が検討される中、2021年5月にはデータ活用の健全なエコシステムを推進する目的で、一般社団法人オルタナティブデータ推進協議会が発足されました。(参考4)

金融業界だけにとらわれず、データの提供側・活用側、産業・学術問わず、さまざまなジャンルの企業・団体が会員となっており、今後オルタナティブデータの市場、そして活用の場が広がることが期待されます。
参考1:THE WALL STREET JOURNAL, Nov. 2, 2018
https://www.wsj.com/articles/your-smartphones-location-data-is-worth-big-money-to-wall-street-1541131260

参考2:Thasos Group, 2019 Retail REIT Performance Update
http://thasosgroup.com/insights/

参考3:日本銀行.“経済・物価情勢の展望”.2020年7月
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2007b.pdf

参考4:オルタナティブデータ推進協議会
https://alternativedata.or.jp/
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