人流データでフィールドセールスを進化。量販店向け提案力を高める営業DX

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執筆者 XLマーケティングチーム
人流データでフィールドセールスを進化。量販店向けに提案力を高める営業DX

自社商品が“売れる理由”をデータで語る時代へ

量販店の営業では「なぜこの商品が、この店舗で売れるのか」を明確に示すことが必要不可欠です。
ところが現実には、自社商品用の棚獲得を得るための提案が感覚頼みの提案にとどまり、提案先の担当者に納得を得られないといった以下のような壁にぶつかることはないでしょうか?

量販営業でよくある現場の悩み

  • 提案が「人間関係やなんとなくの感覚頼み」に頼っているため、説得力に欠けて提案が通りにくい
  • 全国一律の営業資料では、各店舗ごとの状況にフィットしない
  • 実績データはあっても、“今この店舗で売れる理由”を説明しきれない

本部調達担当者も、感覚や経験に頼った提案では動いてくれません。求められているのは、来店者のリアルなデータに基づいた、店舗ごとに最適化された提案です。

そんな営業現場の悩みを解決するのが、「人流データ」を活用した提案型のアプローチです。

INDEX

「人流データ」の活用が営業活動のカギとなる

量販店は、必ずしも集客に理想的な立地に出店できるとは限りません。
そのため、「限られた来店客の買上率をいかに高めるか」が、ビジネス全体の重要な課題となっています。

一方で、メーカーや問屋に求められるのは、「この商品が、この店舗で、なぜ売れるのか」という根拠を、データに基づいて本部調達部門に対して説得力を持って説明することです。

人流データが営業提案に与える3つの効果

人流データを活用することで、従来の感覚的・一律的な営業提案から一歩進んだ、店舗ごとの傾向に基づいた説得力のある提案が可能になります。

たとえば、次のような活用が考えられます:

  • 商圏の特性に基づいた商品構成やキャンペーン提案
  • 時間帯別・属性別の売り場改善や販促施策の最適化
  • 来店傾向を反映した店舗別の提案資料づくり

これらのアプローチにより、提案先に対して「この商品は、この店舗で売れる」という明確な根拠を提示することができ、提案の受け入れ率も向上します

提案の質をあげるための3ステップ

データを活かして「納得される営業提案」へ

では実際に、人流データをどのように活用すれば営業提案の質を高められるのでしょうか。

ポイントは、「誰が、どこから、いつ来るのか」という視点をもとに、来店者像を可視化し、提案の裏付けとなる情報を明確にしていくことです。

たとえば以下のような情報が、人流データで把握できます:

  • 居住地・勤務先
  • 年代・性別
  • 滞在時間・来訪頻度・曜日別の傾向

これらのデータを活用することで、「実際にこの店舗にはこういう客層が来ているから、この商品が売れる」というストーリーのある提案へと進化します。

その結果、これまで“通りにくかった提案”が、本部バイヤーの納得を得られる資料へと変わっていくのです。

ステップ1. 店舗ごとの人流傾向を分類し、「売れる理由の構造」をつくる

最初のステップは、対象店舗の人流データをもとに来店傾向を分析し、店舗をタイプ別に分類することです。

どのような時間帯に、どんな目的で、どんな人が訪れているのか――
たとえば「買い回り目的で訪れる平日昼間の主婦層」や「仕事帰りに立ち寄るビジネスマン層」など、来店シーンを想定しながら店舗ごとの傾向を明らかにしていきます。

このような傾向値が似ている店舗をグルーピング(クラスタリング)することで、売れ筋商品の傾向や、提案すべきカテゴリーの方向性を定量的に導き出すことが可能になります。

ドラッグストアを対象とした傾向値が類似するもの同士をクラスタリングした図
図. ドラッグストアを対象とした傾向値が類似するもの同士をクラスタリング

このように店舗のタイプを見極めることで、提案の切り口が明確になります。

ステップ2.分類結果から導く「店舗別の提案設計フレーム」

次に、分類結果を踏まえて、店舗タイプごとにどのような提案が有効かを設計していきます。
店舗の立地や人流特性は千差万別。画一的な提案では届かないからこそ、分類されたタイプごとに適した戦略を立てることが重要です。

ここでは、下記図のように店舗の「距離圏(居住地や勤務先との関係性)」に基づく分類を例に、提案内容を整理します。

居住地や勤務地からの距離圏をK-means法で4つに分類
図. 居住地や勤務地からの距離圏をK-means法で4つに分類した場合

ステップ3.顧客の「属性・商圏・時間帯別」から最適な提案戦略を組み立てる

最後に、分類された店舗タイプに対して、人流データを活用してさらに深掘りすることで、提案の精度を一層高めます。以下の3つの軸から店舗特性を深掘りしてくことで、説得力のある提案ができるようになります。

距離圏(商圏)別の戦略例

最初に、来店者が店舗にどの程度の距離から訪れているかに注目し、来訪者の居住地や勤務地との距離をもとに分類したグラフを作成します。以下が距離圏別に分けたグラフの参考図になります。

距離圏(商圏)別の戦略例
図. 距離圏別に分類したグラフ

年齢別・性別の戦略例

次に、来店者の年齢層や性別で分類し、顧客の傾向を把握することで、商品カテゴリや表現方法を以下のように分類します。

年齢別・性別の戦略例
図. 年齢・性別で分類したグラフ

時間帯別の戦略例

最後に、来店が集中する時間帯の違いを以下のように分類します。
来店ピークに合わせた商品構成や売り場設計を行うことで、購買率を高めることができます。

時間帯別の戦略例
図. 時間帯別に分類したグラフ

このように、「属性」「商圏」「時間帯」の3つの視点で店舗を分類・分析することで、来店者像がより具体的に見えてきます。

それぞれの軸で得られたインサイトを掛け合わせることで、店舗ごとの特性に最適化された売場提案や商品構成の設計が可能になります。

データに裏打ちされた“戦略的な営業提案”は、これまで届かなかった本部バイヤーに対しても、強力な説得材料となります。

複数の視点を掛け合わせることで、“売れる店舗”が明確になる

例えば、
「オフィス街で働く20代の新社会人」をターゲットとした新商品のプロモーションを行いたいとします。

  • 商圏タイプ:勤務地型(オフィス立地の来訪が多い)
  • 属性タイプ:若年層型(20代来店比率が高い)
  • 時間帯タイプ:アフター5型(平日夕方以降の来店が多い)

人流データを活用すれば、これらの条件を満たす店舗を簡単に抽出することができ、「この商品を、なぜこの店舗で売るのか」という根拠を本部提案資料に盛り込むことが可能になります。

このように複数の視点を統合的に活用することで、“提案に説得力がある重点店舗リスト”をデータドリブンで導き出せるのです。

提案資料づくりを効率化する営業支援ツール

こうした分析と提案設計を支えるのが、人流分析プラットフォーム「LAP(Location AI Platform®)」です。これまでの課題に対して、以下のような解決を実現することが可能です。

  • 店舗周辺の人流を110mメッシュ単位でピンポイントに可視化
  • 来訪者の「居住地」「勤務先」「性年代」「時間帯傾向」を把握
  • 人流傾向が類似する店舗を自動クラスタリング
  • 提案資料やグラフの出力もワンクリックで完了

属人的な勘や経験に頼らず、チーム全体で再現可能な営業活動を実現できます。
「資料作成の負担を減らしながら、提案の精度を上げる」。それがLAPの強みです。

まとめ

人流データは、フィールドセールスの効率化と説得力ある提案の質向上に不可欠なデータです。ターゲット選定、訪問計画、効果測定、改善といった一連のプロセスを最適化し、営業活動の成果を向上することができます。

本コンテンツで解説した内容をわかりやすくまとめたサンプル資料のご提供も可能です。「どんなデータが見られるの?」「自社のターゲットに合うのか?」という方へ、実際のサンプル店舗を使った以下の人流データ可視化デモをご用意しています。

  • 店舗別の来訪傾向マップ
  • 店舗クラスタリング分類のサンプル
  • 時間帯・性別・年齢の構成比
  • 提案資料サンプル

営業現場ですぐに使える内容を“見て”ご判断ください。

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 クロスロケーションズマーケティング担当者
クロスロケーションズ株式会社マーケティングチーム

クロスロケーションズは位置情報ビッグデータの独自解析エンジンとその機能を使ったクラウド型人流分析プラットフォームを展開しています。 マーケティングチームでは、「Location Engine™」から取得できる準リアルタイムの人流統計データを活用してビジネスから社会課題の解決まで幅広くお手伝いができるように活動しています。

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