GLOSSARY 用語集

カニバリゼーション

カニバリゼーションとは。人流データを活用した顧客の奪い合いによる原因究明と対策

自社の商品やサービスが同一ブランド内で競合し、顧客を奪い合う現象「カニバリゼーション(共食い)」が起こることがあります。この状態は、ビジネスにおいて深刻な問題を引き起こし、収益の減少に繋がる可能性があります。本記事では、カニバリゼーションの意味、その原因、そして人流データを活用した対策について解説します。

INDEX

カニバリゼーションとは

カニバリゼーションとは、自社の店舗やブランド同士が競合し、互いに顧客を奪い合う現象を指します。この結果、市場全体の売上やシェアが分散し、企業の収益が減少します。新製品の導入や近隣の店舗配置が原因となることが多く、インターネット上の電子商取引や期間限定プロモーションもカニバリゼーションを引き起こすことがあります。

流通・小売り業界では、出店計画の際に同じ商圏内で自社の異なるブランド店同士が競合してしまい、顧客を奪い合う現象が起こることがあります。この状態をビジネスでは、「カニバる」と表現し、英語のcannibalization「カニバリゼーション(共食い)」から派生した言葉のスラングとして使われています。

小売店の商圏内に起こるカニバリゼーション

カニバリゼーションの問題は、店舗運営の成功に大きな影響を与えます。そのため、商圏分析(市場のボリュームや競合店舗の状況など地域の特性をデータにより分析)を通じて、顧客層や競合他社の位置、市場の需要を把握することで、カニバリゼーションのリスクを予測することで、適切に対処することが重要となります。

店舗同士の商圏が重なっている地域を地図上に色分けして表示(Location AI Platform®の商圏分析結果)

カニバリを避けるため、上記図では異なる地域や顧客層をターゲットにすることで、内部競争を避けるために特定の地域内に位置する小売り店舗同士の顧客の来訪シェア率を可視化しています。

地図上で町丁目毎に色分けをすることで、自社同士の店舗や競合の店舗が並ぶ地域での顧客の重なりを人流データを活用して視覚化することが可能です。

カニバリゼーションの防止策

カニバリゼーションを防ぐためには、市場調査や商圏分析など、徹底した対応が重要となります。そこで、以下代表的なカニバリゼーションの防止策を紹介していきます。

商品やサービスの差別化

商品の用途、機能、デザインなどで差別化を図ることは、カニバリゼーションを防ぐための基本的な方法です。具体的には、以下のような取り組みが考えられます。

  • 用途の差別化:製品やサービスが異なる用途に適していることを強調します。例えば、同じブランド内でも日常使い用と特別なイベント用の商品を展開するなどです。
  • 機能の差別化:商品に独自の機能を追加することで、他の商品と区別します。例えば、最新技術を取り入れた高機能モデルと、シンプルで使いやすいモデルを展開するなどです。 
  • デザインの差別化:視覚的に異なるデザインを採用することで、顧客に対する訴求力を高めます。例えば、若年層向けのポップなデザインと、シニア向けの落ち着いたデザインを用意するなどです。

ターゲット層の変更

提供先のターゲット層を変更し、異なる市場セグメントを狙うことで、カニバリゼーションのリスクを減らすことができます。具体的なアプローチとしては、以下の方法があります。

  • 地域ごとのターゲット設定:都市部の店舗はビジネスマンや若年層、郊外の店舗は家族連れや高齢者をターゲットにするなど、地域の特性に応じてターゲット層を設定します。
  • ライフスタイル別のターゲット設定:例えば、健康志向の高い顧客層に対しては健康食品やフィットネス関連商品を提供し、ファッションに敏感な顧客層にはトレンド商品を提供するなど、ライフスタイルに応じた商品展開を行います。

コストバランスの調整

カニバリゼーションが発生した場合には、新規事業と既存事業のコストバランスを調整し、成長可能性の高い事業にリソースをシフトすることが重要です。具体的な対策としては、以下の方法が考えられます。

  • リソースの再配分:利益率が高く、成長が見込める事業に対して、マーケティング予算や人員を重点的に配置します。
  • コスト削減の実施:カニバリゼーションによって利益が減少している事業については、効率化を図りコストを削減します。例えば、在庫管理の見直しや物流コストの削減などです。
  • 新規事業への投資:既存事業のリソースを調整し、新規事業への投資を強化します。これにより、新たな収益源を確保し、全体の収益バランスを改善します。

各店舗は、顧客ニーズに応じた独自の価値提案をすることが大切です。これには、特定の店舗でのみ提供される限定商品やサービス、特別な顧客体験、地域に根差したイベントの開催などが含まれます。これらの防止策を講じることで、カニバリゼーションのリスクを軽減し、顧客に対してその店舗独自の魅力を伝え、他店舗との明確な差別化を図ることにつながります。

カニバリゼーションを防ぐために役立つ人流データ活用

人流データを活用することで、店舗配置や市場戦略を最適化し、カニバリゼーションのリスクを軽減することが可能です。クロスロケーションズが提供する人流分析プラットフォームのLAP(Location AI Platform®)では、高精度なGPSデータをAIで解析し、リアルタイムな市場の変動を把握することができます。

これにより、従来の商圏分析ツールでは得られなかった市場の顧客の動きや競合他社の分析などを位置情報データを活用して詳細なデータを得ることができるため、より精度の高い戦略立案が可能になります。

人流データを活用したカニバリゼーションの視覚化:町丁目単位で店舗間同士の顧客の来訪割合を地図上に可視化しています。

まとめ

出店計画時のカニバリゼーション対策や既存店舗の商圏内で起こるカニバリを防ぐために最適なエリア選定を検討している方は、一度人流データを活用したサービスを体験してみてください。詳しい情報は、以下人流分析プラットフォームのサービスデモやお問い合わせフォームからご連絡をお願いします。

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