未開拓地の出店を成功に導く人流データを活用した戦略的店舗開発の進め方

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執筆者 XLマーケティングチーム
未開拓地の出店を成功に導く人流データを活用した戦略的店舗開発の進め方

初めて出店する場所こそ、「人の流れ」を見て判断する

これから新しいエリアに出店を考えるとき、

「この場所に本当に人が集まるのか?」「ターゲットとするお客さんが来るのか?」と、不安に感じることはありませんか? 

特に、これまで出店実績のない“未開拓地”では、現地の様子が見えづらく、判断に迷う場面が多くあります。地図や物件情報だけでは読み取れない、人の動きや来訪者の特徴が分からないままでは、出店の成功率を高めるのは難しいのが実情です。

そんなときに頼りになるのが、人流データの活用です。

「いつ・どこから・どんな人が・どんな目的で訪れているか」をデータで把握することで、出店候補地の“実際の姿”が見えてきます。

本コンテンツでは、未開拓地への出店をより戦略的に、そして再現性高く進めるために重要な「成功しやすい立地の特徴=勝ちパターン」の見つけ方と、それを新しい候補地に活かす方法を具体的な機能と活用ステップを交えて解説します。

未開拓地の出店を成功に導く人流データ活用の進め方
未開拓地の出店を成功に導く人流データを活用した戦略的店舗開発の進め方の流れ
INDEX

「出店候補地の様子が見えない」が最大の悩み

未開拓のエリアに新規出店先を検討する際、まず悩むのが「どんな人がこの街を利用しているのか」が見えづらいことです。既存店舗がないエリアでは、店舗開発に必要な判断材料が圧倒的に不足しています。

たとえば…

  • 周辺にどんな人が、どの時間に、どんな目的で訪れているのかがわからない
  • 商圏の広さや構造、競合店の影響が読みきれない
  • 過去の経験やエリア、物件情報などの情報から出店判断になりがち

こうしたことが把握できていない状態では、どうしても「感覚」や「勘」に頼った出店になりがちになり、その結果、思ったような集客が得られないリスクにつながってしまうこともあります。

だからこそ、「実際にこのエリアにはどんな人が来ているのか?」をデータで可視化しながら判断することが重要です。

成功した店舗には勝ちパターンとなる“共通点”がある

すでに成果を上げている店舗には、実は共通する条件や傾向があります。
そして、それらは直感ではなく、周辺の人の流れをデータで分析することで、成果につながる”勝ちパターン”を捉えることができます。

たとえば、こんな特徴が勝ちパターンの一例です。

  • 駅から徒歩5分以内で、人の流れは夕方に集中している
  • 平日昼間の人流が多く、周辺はオフィス街(オフィスワーカー中心)
  • 車通りが多いロードサイド店舗で、滞在時間は短め

このような条件を人流データから読み取り、言語化・モデル化することで、未開拓エリアにおいても同じような条件を持つ候補地を客観的に評価できるようになります。

つまり、成功している既存店舗の周辺環境にある共通点をできる限りデータに落とし込んで把握することが非常に大切です。

勝ちパターンを見つけて、次の出店に活かすには?

ここからは、「成功しやすい立地の共通点=勝ちパターン」をどのように見つけ、それを新たな出店候補地に活かしていくかをご紹介します。

クロスロケーションズが提供する人流データ分析プラットフォーム「Location AI Platform®(LAP)」を活用すれば、成功店舗の特徴をデータで可視化し、他の候補地と比較・検証することが可能です。

この章では、勝ちパターンの抽出から候補地の評価までを、以下の3ステップでわかりやすく解説します。

ステップ1:成功店舗のまわりを「人の流れ」で見てみよう

まずは、すでにうまくいっている店舗のエリアから調べてみましょう。

LAPには、俯瞰的にエリアの人流を捉える複数のマップ機能が用意されているので、机の上からクラウドサービスを通して現地に行かなくても「どこに、どんな動きがあるか」を地図上で視覚的に確認することができます。

エリア密集マップを活用

GPSデータの密集度をヒートマップ形式で表示し、どの場所に人が集まっているかを色の濃淡で直感的に把握できます。

🔶 オレンジ:人が密集しているエリア
🟡 黄色:中間層
🟢 緑:人が少ないエリア

成功店舗のまわりを「人の流れ」で見てみよう_エリア密集マップ
図. 成功店舗のまわりの「人の流れ」バードアイ人流(エリア密集度マップ)で分析

上記の図は、指定したエリア内の位置情報(GPSデータ)をもとに、人の集まり具合をヒートマップ形式で可視化したものです。地図上で人の密集度を色の濃淡で直感的に把握できるほか、取得されたデータ量(※人数ではなく位置情報の記録数)も表示されるため、エリアのポテンシャルを数値的に評価することが可能です。

また、この分析は地点登録を行わずに実施できるため、指定エリア内の人の流れを瞬時に俯瞰的に把握できます。加えて、時間帯別・曜日別の人流の変化もひと目で確認でき、エリア特性の把握に役立ちます。

道路通行量マップを活用

つぎに、地図上で任意の地点と半径を指定することで、その周辺道路の1日あたりの平均通行量を、歩行者・車別に可視化します。業態によって求められる通行量の“目安”を把握できるため、立地の良し悪しを判断するうえで非常に有効です。

成功店舗のまわりの通行量を見てみよう_道路通行量マップ
図. 成功店舗まわりの道路通行量を分析。バードアイ人流(道路通行量マップ)

対象エリア内からピンポイントに選択した道路1本あたりの1日の平均通行量を可視化することができます。通行量は、歩行者と車の通行量を選択することも可能なため、店舗の業態や立地に応じて必要な情報を得ることが出来ます。

また、既存店舗周辺のデータを把握し、成功するためにはどれくらいの周辺通行量が必要なのかを事前に目安として掴むことができます。

アワリー周辺滞在を活用

本機能では、指定した地点を起点に、時間帯別(徒歩1分〜10分圏内)での店舗周辺の滞在人数の推移をグラフで確認できます。さらに、駅や商業施設との距離感、昼夜や平日・休日の違いなどもあわせて把握することで、集客に関わる周辺エリアの滞在傾向をより立体的に分析することが可能です。

店舗周辺の滞在人数の推移を調査_アワリー周辺滞在
図. 店舗周辺の滞在人数の推移を調査(バードアイ人流:アワリー周辺滞在)

上記の図では、指定した地点を中心に、徒歩1分・2分・5分・10分圏内の各商圏を色分けし、それぞれの範囲における時間帯別(アワリー)の滞在端末数の推移を可視化しています。あわせて、周辺駅や主要施設との位置関係も視覚的に把握でき、集客ポテンシャルの評価に役立ちます。

ステップ2. 来店している人の特徴を分析

次に、成功店舗を訪れている人の「属性」や「行動パターン」をデータで分析します。人の動きだけでなく、「どんな性別・年齢の人が来ているのか」や「自宅から来ているのか、職場からなのか」など、店舗を訪れている人の属性や行動パターンを詳しく分析します。

人流データを活用した可視化できる情報

・男女比・年代構成
・来訪元(自宅 or 職場)
・地元客中心か、遠方からの来訪者との割合など
・滞在時間、来訪時間帯の傾向

これからの情報を前日までの人の流れとして把握することができます。

前日までの対象地点における人流を把握(人流速報機能)
図. 前日までの対象地点における人流を把握(人流速報機能)

これらの情報をもとに、「なぜこの店舗が成果を出せているのか」「どんなタイプの人に支持されているのか」を、感覚ではなく数字で把握することができます。

ステップ3:候補地を同じ目線で分析・比較する

最後に、同じように新たな出店候補地をLAPで分析し、成功店舗との共通点や違いを整理します。

成功している店舗と比較して、似ている点・違う点を整理することで、「この場所でうまくいきそうかどうか」が見えてきます。たとえば、以下の観点で比較してみましょう。

  • どの時間帯に人が多く動いているか?
  • 来訪者の属性や生活圏にどのような特徴があるか?
  • 滞在時間や混雑の度合いに違いはあるか?
  • 来訪の目的や交通手段は似ているか?
人流データを活用して、候補地を同じ目線で分析・比較する
図.既存店・出店候補地を店舗ごとに数値化したサンプル(すべてのデータをLAPから取得)

こうして比較することで、「この場所は成功店舗と似た条件を持っているか?」「それとも、注意すべきギャップがあるか?」といった判断がしやすくなります。

上記で解説した分析のプロセスを踏むことでこれまで感覚に頼っていた判断が、データによる裏付けに変わり、社内での提案や意思決定にも説得力が生まれます。

人流データを使うことで店舗開発はここまで変わる

新しいエリアへの出店には、「情報が少ない」「判断が難しい」といった不安がつきものです。しかし、成功している店舗の特徴を人流データで見える化し、それに近い条件を持つ候補地を比較・検証することで、これまで難しかったエリアでも出店の可能性をしっかり見極めることができます。

以下、人流データを活用することでの実用的なメリットをあげてみます。

現地調査にかかる時間やコストを大幅に減らせる

→PC上で、複数の候補地をデータで一括比較できるため、何度も足を運ぶ必要がなくなります。

成功パターンを社内でスムーズに共有できる

→ 「なぜこの店舗がうまくいっているのか」がデータで整理されているので、他のメンバーとも同じ基準で判断できます。

売上低迷や失敗の兆しにも早めに気づける

→周辺の人の流れに変化があれば、出店や営業戦略の見直しを必要なタイミングでキャッチすることができます。

経営層への提案の納得度が上がる

→ 数字やグラフを使ったレポートをもとに提案できるので、社内での稟議や意思決定もスムーズになります。

AIを活用して、出店判断をもっとスピーディーに、もっと正確に

人流データの活用をさらに進化させるのがAIです。AIを取り入れることで、分析のスピードと精度が大幅に向上し、より正確な出店判断が可能になります。自社の顧客データなどを組み合わせれば、分析の解像度はさらに高まります。

クロスロケーションズが提供する「Location AI Platform®(LAP)」には、人流データの要点を即座に読み解くAI機能が搭載されています。

「AI機能」で誰でもすぐに分析結果を把握

LAPには、人の流れを可視化する複数の「人流速報ウィジェット(機能)」が搭載されており、その結果をAIが瞬時に解釈してくれます。

例えば、「いつ・どこから・どんな人が・どれくらい来ているか」といった重要なポイントも、ダッシュボード上から簡単に把握できます。この機能により、

  • 専門知識がなくても、分析結果の要点がすぐに理解できる
  • 出店候補地の比較やレポート作成がスピードアップ
  • 社内共有やプレゼンでも、説明しやすい資料を作成できる

といった効果が得られ、業務全体の効率が大きく向上します。

AI×人流データで、未来の人の動きまで予測できる

AIは現在の状況だけでなく、過去データと組み合わせて将来の人の動きも予測できます。
たとえば、

  • 来訪者の多い曜日・時間帯の傾向
  • 新施設の開業やイベントよる影響
  • 季節ごとの売上や集客の変動

といった情報を事前に把握し、出店計画だけでなく販促やメニュー開発にも活かすことができます。
AIと人流データを組み合わせることで、初めてのエリアでも、より確度の高い出店戦略が立てられます。

まとめ:店舗開発は「勘」ではなく「見える情報」で判断する時代へ

データとAIの力で、未開拓地でも“勝ちやすい”出店戦略へ

AIによる分析支援を取り入れることで、これまで時間と労力がかかっていた「人流データの読み解き」や「レポート作成」は驚くほど簡単になります。

さらに、勝ちパターンの発見から候補地の評価、将来の予測まで、一貫した判断プロセスの精度が高まり、再現性のある出店戦略の実現性が高まります。

これらの情報を基に初めて出店するエリアでも、人の流れとAIによる分析結果を組み合わせることで、確信をもった判断ができるようになります。

出店先を決めるのは、企業にとってとても大切な決断です。だからこそ、経験や直観に頼るだけでなく、「見える情報=人の流れや動き」といった見える情報をもとに考えることが、これからの店舗開発に欠かせません。

あなたの“次の一手”を、人流データで後押しします。

未知のエリアであっても、成功した店舗の共通点を参考に、同じ指標で候補地をチェックすることで、出店の成功確度は飛躍的に高まります。

お問い合わせ・ご相談はこちら

クロスロケーションズが提供する「Location AI Platform(LAP)」なら、さまざまな視点から人流を分析できる機能が揃っており、これまで見えにくかった「人の動きや特性」をわかりやすく可視化できます。

感覚から脱却し、“再現性のある戦略的出店”を実現したい方は、ぜひ一度、実際の画面でデモをご体験ください。データに基づく新たな店舗開発のはじめの一歩として、ご相談をお待ちしています。

 クロスロケーションズマーケティング担当者
クロスロケーションズ株式会社マーケティングチーム

クロスロケーションズは位置情報ビッグデータの独自解析エンジンとその機能を使ったクラウド型人流分析プラットフォームを展開しています。 マーケティングチームでは、「Location Engine™」から取得できる準リアルタイムの人流統計データを活用してビジネスから社会課題の解決まで幅広くお手伝いができるように活動しています。

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