店舗マーケティングにおいて人流データを活用した分析は重要です。人流分析は、特定の店舗周辺の来訪者の動きや傾向をデータとして収集し、分析するプロセスです。これにより、自店舗だけでなく周辺の競合店舗を含めた周辺の来訪者数や顧客の導線把握、ピーク時の時間帯特定などの情報を得ることて効果的な広告やプロモーションに寄与することができるようになります。
こちらの記事では、店舗マーケティングに役立つ人流データの活用について解説いたします。
店舗マーケティングとは
店舗マーケティングとは、店舗の集客と売上を持続的に伸ばすためのあらゆる活動を指します。これには広告、プロモーション、イベント、顧客応対の向上なども含まれます。また、店舗マーケティングの目的は、顧客の意識を高め、店舗に足を運んでもらい、商品やサービスの魅力を伝えることで、最終的に購買行動に結びつけることです。店舗は顧客の行動を理解し、売り上げを最大化させる効果的な戦略を策定するためにも重要な活動となります。
人流データを活用した商圏分析の活用事例として「出店戦略」の記事でその方法について紹介しましたが、人流データによる商圏分析は出店後の来店客の客層を把握するだけでなく、効果的な販促につなげる用途にも活用できます。今回は、店舗が販促活動を行う上でどのように役立つのかを解説していきます。
店舗来訪者データの商圏分析をもとに販促エリアを選定
店舗の販促活動には、ポスティングや新聞折込、ダイレクトメール、ネット広告、テレビやラジオのCMなど様々な方法がありますが、まずは地域密着型の店舗の場合を想定し、効果的なポスティングや新聞折込などのオフライン広告について考えてみます。
ポスティングや折込広告において費用対効果の高い効果的な販促を行うには、店舗を中心に距離で一律に商圏を決めるのではなく、ターゲットとなる顧客層の多い配布エリアを適切に絞り込むことが重要となります。
配布エリアの選定方法としては、これまでは人口や居住状況、年収などの統計データが利用されてきましたが、近年ではこれらのデータに人流データを組み合わせたターゲットエリアのプランニングが注目されています。人流データを活用した商圏分析により、ターゲットとなる顧客層の行動傾向を分析し、既存の配布エリアの見直しを図ることで、効果的なオフライン広告を実現できます。
人流データの活用により幅広い来店客の行動履歴が分析可能に
来店客の居住地や客層などを把握する方法としては、ポイントカードの会員情報を活用する方法などもありますが、会員以外の情報が得られないことに加えて、顧客が来店しても購入しないで帰ってしまった場合は行動履歴として残りません。しかし、人流データを使えば、会員に限らず幅広い人の行動履歴を把握し、新たな顧客層の開拓にもつなげることができます。
また、国勢調査などの統計データでは居住地や従業地、通学地を知ることができますが、たとえば通勤・通学の途中で乗り換えるときに、一時的に駅の外に出て買い物をする人の行動を把握することはできません。さらに、近年はリモートワークが推進されていますが、出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッド型勤務を採用する企業が増えた場合、公的統計だけではオフィス勤務と在宅勤務の割合がわからないため、オフィス街と住宅地にそれぞれどれくらいの人数が滞在しているかを把握することは困難です。
そこで、このような既存のデータに人流データを組み合わせることで、指定した日時に特定エリアにおいてどれくらいの人が滞在しているかを把握することが可能となります。国勢調査は5年ごとに行われますが、人流データはそのような公的統計に比べて更新頻度も高く、コロナ禍のような急激な社会状況の変化にもすばやく対応することができます。
顧客層やエリア特性を見極めて効率的なマーケティングを実現
人流データを活用することで、指定した日時とエリアにおける人の数がわかるだけでなく、店舗を訪れる人がどこから来たのかを調べることも可能となります。また、エリアごとに異なる住民の年齢層や世帯構成、ライフスタイル、交通手段などの特性を把握することもできます。
たとえば一口に“店舗”と言っても、住宅街の中にある店やオフィス街にある店、ロードサイド型の店舗など、立地特性はそれぞれ異なります。住宅街の店ならば徒歩や自転車、オフィス街ならば鉄道、ロードサイト型ならば自動車といった具合に、エリア選定の際には訪れる客がどのような交通手段で店を訪れるのかも考慮する必要があります。
人流データを分析することにより、これまで気付かなかった遠方にあるターゲットエリアが新たに見つかるかもしれません。顧客層やエリア特性が分かれば、ポスティングや新聞折込の配布エリアを選定する際に「店舗を中心に半径○km」と単純に距離で決めるのではなく、既存の顧客が多く住むエリアや、新規開拓を目指すべきエリアを見極めて、大きなリターンを見込めるエリアに対して集中的に配布するといった効率的なマーケティングが可能となります。
店舗マーケティングに活用できる代表的な人流データの特徴
人流データならではの特徴として、自店舗を訪れる顧客だけでなく、競合他店の顧客についても来店状況を調べられることが挙げられます。他店の顧客が、どのような時間帯に、どのようなエリアから訪れているかを調べて、自店舗の状況と比較することにより、自店舗と他店の違いを見出し、お互いの強みと弱みを分析して品揃えの検討などに活かすことができます。
さらに、人流データは店頭販促にも活用できます。顧客が多く来店する曜日や時間帯を把握することにより、その時間帯を狙って店頭でイベントやチラシ配布などを行うことで高い効果を期待できます。
これまでに挙げた店舗マーケティングにおける人流データを活用して実施できる特徴を以下にまとめます。
1.ターゲットエリアの選定
立地特性が異なるさまざまな店舗においても人流データを活用することで顧客がどのエリアから来店しているかの特徴を知ることでできます。これまで気付かなかったあらたなターゲットエリアを開拓することができます。
2.ターゲット層の特定
人流データは来店者の属性情報も知ることができます。どのような顧客が店舗に訪れているかを把握できます。これにより、ターゲット層に合わせたキャンペーンを展開できます。
3.競合店舗の分析
自店舗の顧客だけでなく、競合他店の顧客についても人流データを活用することでそれぞれの来店状況を調べられることができます。たとえば他店の顧客が、どの曜日・時間帯に、どのエリアから訪れているかを調べるなど、自店舗の状況と比較することで、他店との違いを見出し、対策を講じることができます。
4.効果的な販促エリア
人流データの活用により、実勢商圏における最適なエリアを選定したポスティングやターゲット広告などのキャンペーンを行うことができます。そのことによりこれまで以上にリーチや効果を向上させ、よりターゲットに合った広告を提供できるようになります。
販促活動の効果測定にも利用可能
人流データは販促活動の戦略立案に役立つだけでなく、販促を行った後の効果測定にも利用できます。ポスティングや新聞折込を配布した後に、配布したエリアごとに広告への反応率を算出することで、その効果を検証できます。
広告媒体を変えてそれぞれ効果測定を行うことにより、どの媒体が最も集客に効果的だったのかを比較することもできます。人流データを活用し、ポスティングや新聞折込、DMなどの配布地域を適正化した上で、効果測定を行いながらPDCAサイクルを回すことにより、費用対効果を高めることができます。
また、配布するチラシのデザインや内容を変えたり、PRする商品を変更したりした場合の反応率を見る際にも、人流データによる効果測定が有効です。チラシにクーポン券などを付けておくことで回収率も算出できるので、人流データと組み合わせることで多角的な分析を行えます。
なお、人流データによる商圏分析を活かしたマーケティング戦略は、ポスティングや折込チラシだけではありません。別の記事では屋外広告計測などに人流データがどのように活用できるのかを解説していますので興味を持たれた方は是非読んでみてください。
まとめ
こちらの記事では、店舗マーケティングにおいて人流データを活用した商圏分析の重要性と具体的な活用方法について解説しました。店舗マーケティングは、店舗の集客と売上を伸ばすための戦略的活動であり、その中でも人流データは非常に有用なものとなります。
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